研究内容


マイクロホンアレーによる複数音源追尾



  私たち人間は, 無意識のうちに音を聞き分ける能力を身に付けています. たとえば, パーティー会場のような騒がしい場所で急に自分の名前が呼ばれたとしても, 自然と聞き取ることができたり, 声のする方向がわかったり, その声の主がだれか判別できたりします.

  このような能力は, 特に意識することなく体に備わっていますが, 同様な能力を工学的に再現しようとなると, 非常に難しい問題となります.

  このほかにも, さまざまな音響信号処理において 音源の方向は重要な情報として要求されています.


  音源方向の推定には, 複数のマイクロホンが用いられます. 各マイクロホンの位置の違いから, それぞれのマイクロホン間には音声が到達するまでの時間差が生じます. 左図のような複数のマイクロホンによる収音系をマイクロホンアレーと呼びます.

  マイクロホンアレーによる音源方向の推定では, 一般にマイクロホン数を増やすほど高精度となりますが, その分演算量が増加してしまいます.
  そのため, 高精度なリアルタイム推定は難しい課題となります. また, マイクロホンの受音信号の微妙な時間差を用いていることから, 音源数が複数の場合(特にマイクロホン数よりも音源数が多い場合)の音源方向推定は 困難です.


  そこで, 私はリアルタイム処理可能な複数音源追尾について研究を行っています. とくに, 低コストな複数音源追尾の実現に向けて, 2マイクロホンによる複数音源追尾 や, Kinect (Microsoft, 2012) による複数音源追尾について研究を行っております.